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法規制初級

一人親方の安全書類対応ガイド:必要書類と作成時の注意点

一人親方が元請に提出する安全書類の要件、再下請負通知書の書き方、労災特別加入の証明方法をチェックリスト付きで解説します。

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#一人親方#安全書類#労災保険#再下請負通知書

この記事のポイント

  • 一人親方は「事業者」として扱われ、通常の下請業者と同様に安全書類の提出が必要
  • 再下請負通知書・作業員名簿が主な提出書類で、社会保険欄は「適用除外」と記載する
  • 労災保険は特別加入制度を利用し、特別加入証明書の添付が現場入場の必須条件
  • 健康保険は建設国保、年金は国民年金に加入し、証明書類を事前に準備しておく

一人親方として建設現場に入場する際、安全書類の提出は避けて通れません。しかし、一人親方は法人や雇用労働者とは異なる書類上の取扱いがあり、記載方法に戸惑うケースが多いのが実情です。本記事では、一人親方が提出すべき安全書類の要件と作成時の注意点を解説します。

一人親方と安全書類の関係

一人親方の法律上の位置づけ

一人親方とは、労働者を雇用せずに自ら建設業の業務を行う個人事業主のことです。建設業法上は「下請負人」として扱われ、元請業者に対して安全書類を提出する義務があります。

一人親方は「労働者」ではなく「事業者」であるため、労働基準法や労働安全衛生法の労働者保護規定は直接適用されません。しかし、元請業者は現場で働くすべての人の安全を管理する責任があり、一人親方に対しても安全書類の提出を求めます。

一人親方特有の注意点

一人親方の安全書類作成で特に注意が必要なのは、以下の点です。

  • 雇用保険・厚生年金の適用がない(加入義務がない)ことの説明が必要
  • 労災保険は特別加入制度を利用する
  • 健康保険は国民健康保険(建設国保を含む)に加入
  • 建設業許可を持たない場合がある(軽微な工事のみ請け負う場合)

注意

一人親方であっても、実態として特定の事業者の指揮命令を受けて労働している場合は「偽装一人親方」と判断される可能性があります。この場合、雇用関係があるとみなされ、社会保険の加入義務が発生します。国土交通省も「建設業の一人親方問題に関する検討会」の中間とりまとめで、規制強化の方向性を示しています。

一人親方が提出する主な安全書類

一人親方が元請に提出する安全書類は、通常の下請業者と基本的に同じですが、記載内容に違いがあります。主な提出書類は以下のとおりです。

再下請負通知書(様式第1号-甲)

一人親方が提出する書類の中で最も重要なのが再下請負通知書です。この書類は、下請業者(一人親方)が自社の情報を元請に通知するためのものです。

一人親方が記載する際のポイントは以下のとおりです。

  • 商号または名称:屋号がある場合は屋号を記載、なければ個人名
  • 住所:事業所の所在地(自宅兼事業所の場合は自宅住所)
  • 代表者名:本人の氏名
  • 建設業許可番号:許可を受けている場合は記載。許可がない場合は「許可なし」と記載(500万円未満の軽微な工事の場合、許可は不要)
  • 主任技術者:一人親方本人が該当する場合は本人の氏名を記載
  • 安全衛生責任者:下請の場合は選任義務がないが、元請から求められた場合は本人の氏名を記載
  • 社会保険の加入状況:後述の「社会保険の適用除外届」を参照

ポイント

全建統一様式の改訂6版では、建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者IDや技能者IDの記載欄が追加されています。CCUSに登録済みの場合は忘れずに記載しましょう。全建統一様式の詳細は安全書類の基本ガイドも参考にしてください。

作業員名簿(様式第5号)

作業員名簿は一人親方本人の情報のみを記載します。記載項目は通常の作業員と同じですが、以下の点に注意が必要です。

  • 雇入年月日:一人親方には雇用関係がないため、「該当なし」または空欄とする(元請の指示に従う)
  • 雇用保険の被保険者番号:「適用除外」と記載
  • 健康保険:国民健康保険(または建設国保)の加入情報を記載
  • 年金保険:国民年金の加入情報を記載
  • 資格・免許:保有資格を記載(資格証のコピーを添付)

工事安全衛生計画書

元請が求める場合、工事安全衛生計画書を提出します。一人親方の場合、自身が行う作業に関する安全対策を記載します。

労災保険の特別加入と証明方法

特別加入制度とは

一人親方は「労働者」ではないため、通常の労災保険の対象外です。しかし、建設業の一人親方は業務中の事故リスクが高いため、労災保険に任意で加入できる「特別加入制度」が設けられています(労働者災害補償保険法第33条)。

特別加入の手続きは、一人親方団体(特別加入団体)を通じて行います。個人で直接加入することはできません。

加入の証明方法

元請から労災保険の加入証明を求められた場合、以下の書類を提出します。

  • 労災保険特別加入証明書:特別加入団体が発行する証明書。加入期間と給付基礎日額が記載されている
  • 特別加入の承認通知書:労働局から届く承認の通知

注意

労災保険の特別加入は元請現場入場の必須条件としている現場が大半です。未加入の場合、現場に入場できないケースがほとんどです。また、特別加入証明書には有効期限があるため、期限切れに注意してください。

給付基礎日額の選択

特別加入では、給付基礎日額を3,500円から25,000円の範囲で選択できます。給付基礎日額が高いほど保険料は高くなりますが、万一の事故時の補償額も大きくなります。

元請によっては、一定額以上の給付基礎日額を入場条件としている場合があるため、事前に確認しましょう。

社会保険の適用除外届

適用除外とは

一人親方は個人事業主であるため、健康保険法・厚生年金保険法上の社会保険(いわゆる「会社の社会保険」)の適用対象外です。この場合、「適用除外」であることを安全書類上で明示する必要があります。

記載方法

再下請負通知書や作業員名簿の社会保険欄には、以下のように記載します。

  • 健康保険:「適用除外」と記載し、国民健康保険(または建設国保)に加入していることを示す
  • 厚生年金保険:「適用除外」と記載し、国民年金に加入していることを示す
  • 雇用保険:「適用除外」と記載(個人事業主は雇用保険の対象外)

ポイント

「適用除外」と記載する場合でも、国民健康保険証のコピーや国民年金の加入証明(ねんきん定期便など)の提出を求められることがあります。社会保険の証明書類を事前に準備しておきましょう。

元請によっては、適用除外であることの理由書の提出を求められる場合もあります。その際は「個人事業主(一人親方)のため」と記載し、開業届や確定申告書の控えを添付することで証明できます。

一人親方の安全書類提出チェックリスト

元請への提出前に、以下のチェックリストで漏れがないか確認しましょう。

書類作成の負担を軽減するには

一人親方は現場での技術作業が本業であり、安全書類の作成に時間を取られることは大きな負担です。特に複数の元請と取引がある場合、元請ごとにフォーマットや追加書類が異なり、作成・管理の手間が増えます。

当社では、一人親方の安全書類作成からグリーンサイトへの入力、労災特別加入の証明書管理まで、書類業務をまとめて代行しています。現場に集中したい一人親方の方は、お気軽にご相談ください。

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