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建設業許可の申請方法と必要書類:手順・要件・記入ポイントを完全ガイド

建設業許可の申請手順を全体フローで解説。5つの許可要件の確認方法、必要書類チェックリスト、申請書の記入ポイント、知事許可と大臣許可の違い、よくある不備と対策まで。

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この記事のポイント

  • 建設業許可の申請は要件確認→書類準備→提出→審査→許可取得の5ステップで進む
  • 経管・専技・財産的基礎・誠実性・欠格要件の5要件を申請実務の視点で確認する方法
  • 申請書類は様式第1号〜第20号の作成書類と登記事項証明書等の確認書類に大別される
  • 知事許可は9万円で30〜45日、大臣許可は15万円で約120日が標準処理期間の目安
  • 残高証明書の期限切れや社会保険未加入など、よくある不備と対策を解説

建設業許可を取得したいけれど、「何から手をつければいいかわからない」「書類が多くて不安」という声は少なくありません。本記事では、建設業許可の申請手続きを全体フローで整理し、5つの許可要件の確認方法、必要書類のチェックリスト、申請書の記入ポイント、そしてよくある不備と対策まで、実務目線で解説します。許可の種類や要件の概要については建設業許可の種類と取得要件で解説していますので、あわせてご覧ください。

建設業許可申請の全体フロー

建設業許可の申請は、大きく5つのステップで進みます。全体像を把握したうえで、各ステップの詳細に入りましょう。

  1. 許可要件の確認 — 5つの要件を自社が満たしているか確認する
  2. 書類の準備・収集 — 申請書類の作成と、確認書類の取得を並行して進める
  3. 申請書の提出 — 管轄の窓口(都道府県庁または地方整備局)に提出する
  4. 審査 — 形式審査と実体審査が行われる
  5. 許可の取得 — 許可通知書が届き、営業を開始できる

全体のスケジュール感としては、書類の準備開始から許可取得まで、知事許可で2〜3ヶ月、大臣許可で4〜6ヶ月を見込んでおくのが現実的です。書類準備だけでも1〜2ヶ月かかることが多いため、「許可が必要になる時期」から逆算して早めに動き始めることが重要です。

ポイント

建設業許可の取得を急ぐ場合は、最も時間がかかる「書類の準備・収集」を早期に着手しましょう。特に、残高証明書や納税証明書は発行までに数日かかるため、後回しにすると全体スケジュールが遅れます。

申請に必要な5つの要件の確認方法

建設業許可を申請するためには、5つの要件をすべて満たす必要があります。ここでは各要件を「申請実務の視点」から解説します。各要件の制度的な背景については建設業許可の種類と取得要件で詳しく紹介しています。

要件1:経営業務の管理責任者(経管)

法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人事業主の場合は事業主本人が、建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有している必要があります。

確認のポイントは以下のとおりです。

  • 業種を問わず5年以上:2020年10月の建設業法施行規則改正で、従来の「許可を受けようとする業種で5年、他業種で7年」の要件が緩和されました。現在は業種に関係なく「建設業に関して5年以上」あれば足ります
  • 常勤であること:経管は営業所に常勤している必要があります。他社の常勤役員との兼任は原則として認められません
  • 証明方法:確認書類として、過去の建設業許可通知書の写し、登記事項証明書(役員として登記されていた期間の確認)、確定申告書の写し(個人事業主の場合)などが必要です

個人事業主の場合、事業主本人が経管に該当します。5年以上の事業経験は、確定申告書の控えや工事契約書等で証明します。

要件2:専任技術者(専技)

営業所ごとに、許可を受けようとする業種に対応した専任技術者を配置する必要があります。

一般建設業の場合は、以下のいずれかに該当する者です。

  • 許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を有する者
  • 指定学科を卒業後、高卒で5年以上・大卒で3年以上の実務経験を有する者
  • 1級または2級の施工管理技士、建築士、技術士等の国家資格を有する者

特定建設業の場合は、要件がより厳格になります。

  • 1級施工管理技士、1級建築士、技術士等の上位国家資格を有する者
  • 一般建設業の専任技術者要件を満たし、かつ元請として5,000万円以上の工事の指導監督的実務経験が2年以上ある者

専任技術者の「常勤性」は、健康保険被保険者証の写し、住民票と営業所所在地の近接性、出勤簿の写しなどで証明します。実務経験で申請する場合は、工事請負契約書や注文書・請書等で10年分の実務を証明する必要があり、準備に最も時間がかかるケースが多いです。

要件3:財産的基礎

建設工事を請け負うにあたり、一定の財産的裏付けがあることが求められます。

一般建設業の場合は、以下のいずれか1つを満たせば足ります。

  • 自己資本(貸借対照表の純資産合計)が500万円以上
  • 500万円以上の預金残高証明書(金融機関発行)を提出できる
  • 許可申請直前の過去5年間に建設業許可を受けて継続して営業した実績がある

特定建設業の場合は、以下のすべてを満たす必要があります。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていない
  • 流動比率が75%以上
  • 資本金が2,000万円以上
  • 自己資本が4,000万円以上

個人事業主で自己資本500万円に満たない場合は、金融機関で500万円以上の残高証明書を発行してもらう方法が一般的です。残高証明書の有効期限は申請日から1ヶ月以内の発行日のものとされることが多いため、取得のタイミングに注意してください。

要件4:誠実性

法人の場合はその法人・役員等、個人事業主の場合は事業主本人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが必要です。

具体的には、建築士法や宅地建物取引業法等で免許取り消し処分を受けて5年を経過していない場合などが「不誠実」と判断されます。一般的に、過去にこうした処分を受けていなければ問題なく満たせる要件です。

要件5:欠格要件に該当しないこと

以下に該当する者がいないことが必要です(法人の場合は役員全員、個人の場合は事業主本人・支配人が対象)。

  • 破産者で復権を得ない者
  • 建設業許可を取り消されてから5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり5年を経過しない者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

欠格要件に該当しないことは、「登記されていないことの証明書」(法務局発行)と「身分証明書」(本籍地の市区町村発行)で証明します。法人の場合は役員全員分の取得が必要です。

必要書類一覧

建設業許可の申請に必要な書類は多岐にわたります。以下に主要な書類をカテゴリ別にまとめます。

申請書類(作成が必要なもの)

書類名様式番号概要
建設業許可申請書様式第1号申請者情報・許可業種等を記載
工事経歴書様式第2号直前1年の工事実績を記載
直前3年の各事業年度における工事施工金額様式第3号3年分の施工金額を記載
使用人数様式第4号技術関係使用人数を記載
誓約書様式第6号欠格要件に該当しない旨の誓約
経営業務の管理責任者証明書様式第7号経管の経験を証明
専任技術者証明書様式第8号専技の資格・経験を証明
実務経験証明書様式第9号専技の実務経験を証明(該当者のみ)
財務諸表様式第15〜17号貸借対照表・損益計算書等
営業の沿革様式第20号過去の営業実績を記載

確認書類(取得が必要なもの)

書類名取得先注意事項
登記事項証明書(商業登記)法務局法人のみ。目的欄に建設業の記載があるか確認
登記されていないことの証明書法務局役員全員分(個人は本人分)
身分証明書本籍地の市区町村役員全員分。破産の有無等を確認するもの
納税証明書都道府県税事務所(知事許可)/ 税務署(大臣許可)法人事業税または所得税の証明
残高証明書金融機関自己資本500万円未満の場合に必要
健康保険等の加入状況の確認書類各保険者社会保険の適正加入を証明

技術者関連書類

書類名対象者注意事項
資格証明書の写し国家資格保有者施工管理技士合格証明書等
卒業証明書指定学科卒業者学校の指定学科であることの確認
実務経験証明書実務経験による申請者10年分の工事実績を1件ずつ記載
常勤性の確認書類全員健康保険被保険者証の写し等

ポイント

必要書類は都道府県によって若干異なる場合があります。申請前に、管轄の窓口で最新の「申請の手引き」を入手しておくと確実です。多くの都道府県ではWebサイトからダウンロードできます。

申請書の記入ポイント

申請書類の作成で特に注意が必要な書類と、よくある記入ミスを紹介します。

様式第1号:建設業許可申請書

建設業許可申請書は、申請の基本情報を記載する書類です。

  • 許可の種類:「一般」か「特定」かを正確に選択する。同一業種で両方を取得することはできません
  • 業種コード:29業種のうち、申請する業種の略号(例:「建」=建築一式工事、「大」=大工工事)を正確に記入する。業種の分類については建設業許可の種類と取得要件を参照してください
  • 資本金額:申請時点の登記上の資本金を記載する。直近で増資した場合は登記変更が完了しているか確認する
  • 申請日:窓口に提出する日を記入する(作成日ではありません)

様式第2号:工事経歴書

工事経歴書は、直前1事業年度に施工した工事の実績を記載する書類です。

  • 記載順序:元請工事と下請工事を分けて、請負金額の大きい順に記載する
  • 主な完成工事10件:元請工事・下請工事それぞれ、主要なものを10件以上記載するのが望ましい
  • 配置技術者:各工事に配置した主任技術者または監理技術者の氏名を記載する。専任技術者と異なる人物でも可
  • 工期と請負代金:契約書の記載と一致しているか確認する

様式第3号:直前3年の各事業年度における工事施工金額

  • 3年分の施工金額を業種ごとに正確に記載する
  • 消費税を含まない金額で記載する(税抜き)
  • 決算変届(事業年度終了届)の数値と整合性を確認する

よくある記入ミス

  • 法人番号の記載漏れ
  • 業種の略号の誤り(「土」と「と」の取り違えなど)
  • 許可番号欄に、新規申請なのに旧許可番号を記載してしまう
  • 財務諸表の数値が申告書と不一致
  • 押印が必要な箇所への押印漏れ(都道府県により異なる)

申請先と手数料

建設業許可の申請先と手数料は、知事許可と大臣許可で異なります。

知事許可

  • 対象:営業所が1つの都道府県内にある場合
  • 申請先:営業所の所在地を管轄する都道府県の建設業担当課(建設業課、建築指導課など名称は都道府県により異なる)
  • 手数料:新規申請 9万円(都道府県収入証紙で納付)、更新申請 5万円、業種追加 5万円

大臣許可

  • 対象:営業所が2つ以上の都道府県にまたがる場合
  • 申請先:本店所在地を管轄する地方整備局等(関東地方整備局、近畿地方整備局など)
  • 手数料:新規申請 15万円(登録免許税として国に納付)、更新申請 5万円、業種追加 5万円

注意

知事許可と大臣許可の区分は、営業所の所在地で決まります。「工事を施工する場所」は関係ありません。知事許可であっても、他の都道府県で工事を施工することは可能です。

なお、行政書士に申請代行を依頼する場合は、上記の手数料に加えて、報酬として10万〜20万円程度が一般的な相場です。書類作成から申請窓口への同行まで含むフルサポートの場合は、より高額になることもあります。

申請から許可までの期間と流れ

申請書を窓口に提出した後は、行政側の審査を経て許可が下りるまで一定の期間がかかります。

審査の流れ

  1. 書類受付:窓口で申請書類の形式的なチェックが行われます。不備がある場合はその場で指摘されることもあります
  2. 形式審査:提出書類に記載漏れや添付不足がないか確認されます
  3. 実体審査:許可要件を実際に満たしているか、書類の内容に基づいて審査されます。経管や専技の常勤性、経験年数の裏付け等が重点的にチェックされます
  4. 許可通知:審査完了後、許可通知書が郵送されます

標準処理期間

区分標準処理期間(目安)
知事許可申請受理から30日〜45日(都道府県による)
大臣許可申請受理から約120日

上記はあくまで目安であり、申請が集中する年度末や、審査担当者の状況によって前後します。

補正指示への対応

審査の過程で書類の不備が見つかると、「補正指示」として修正や追加書類の提出を求められます。補正に応じるまでの期間は標準処理期間に含まれないため、補正が長引くとその分許可の取得が遅れます。

補正を最小限に抑えるためには、申請前に管轄窓口の「事前相談」を活用するのが効果的です。多くの都道府県では、正式な申請の前に書類の内容を確認してもらえる窓口や予約制度を設けています。

よくある不備と対策

申請時に指摘されやすい不備と、その対策をまとめます。

経営業務の管理責任者の経験年数不足

経管の経験年数が5年に満たない場合、許可は取得できません。改正前の基準(許可を受けようとする業種で5年、他業種で7年)と現行基準(業種を問わず5年)を混同しているケースもあります。事前に「いつからいつまで、どの会社で、どの役職にあったか」を年表形式で整理し、5年以上になるか確認しましょう。

専任技術者の常勤性証明の不備

専技の常勤性は、健康保険被保険者証のコピー、住民票と営業所所在地の距離関係、通勤定期の写しなどで証明します。特に、専技が個人事業主を兼ねている場合や、住所と営業所が遠距離にある場合は、常勤性を疑われることがあります。

財産的基礎の証明期限切れ

金融機関の残高証明書には有効期限があります。多くの都道府県では、申請日前1ヶ月以内に発行されたものを求めています。書類準備に時間がかかった結果、残高証明書の日付が古くなって再取得が必要になるケースは非常に多いです。

社会保険の未加入

2020年10月以降、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への適正加入が建設業許可の要件となりました。未加入の場合は許可が受けられません。法人は従業員数に関わらず加入義務があり、個人事業主も従業員5人以上で加入が必要です。

決算変届の未提出

更新申請や業種追加の際に多いのが、過去の決算変届(事業年度終了届)が未提出のケースです。毎事業年度終了後4ヶ月以内に提出が必要で、1年でも未提出の年度があると申請が受理されません。年度スケジュールの管理については建設業の年度更新手続き:届出期限カレンダーと必要書類まとめをご参照ください。

更新申請と変更届

建設業許可は取得して終わりではなく、定期的な更新と、変更が生じた際の届出が必要です。

更新申請

  • 有効期間:許可取得日から5年間
  • 申請期限:有効期間満了日の30日前まで
  • 手数料:知事許可・大臣許可ともに5万円
  • 注意点:更新申請が遅れると許可が失効し、再度「新規申請」からやり直す必要があります。更新の準備は有効期限の3〜6ヶ月前から始めましょう

更新申請では、引き続き5つの許可要件を満たしていることが確認されます。特に、経管や専技が退職していないか、財産的基礎を引き続き満たしているかがチェックされます。

決算変届(事業年度終了届)

毎事業年度の終了後4ヶ月以内に提出が義務づけられています。決算変届が未提出のまま更新申請を行っても受理されないため、毎年確実に提出することが重要です。決算変届の提出が必要な書類には、財務諸表(貸借対照表、損益計算書等)、工事経歴書、直前3年の施工金額などがあります。

変更届が必要な事項

以下の事項に変更が生じた場合は、定められた期限内に変更届を提出する必要があります。

変更事項届出期限
経営業務の管理責任者の変更変更後2週間以内
専任技術者の変更変更後2週間以内
商号・名称の変更変更後30日以内
営業所の所在地変更変更後30日以内
役員の就任・退任変更後30日以内
資本金の変更変更後30日以内

ポイント

経管や専技が退職した場合、後任者がいなければ許可が取り消される可能性があります。退職が判明した時点ですぐに後任者の手配と変更届の準備に着手しましょう。

年間を通じた届出スケジュールの管理については、建設業の年度更新手続き:届出期限カレンダーと必要書類まとめで詳しく解説しています。また、建設業法等の改正ポイントで紹介した最新の法改正内容にも留意してください。

許可申請の事務負担を軽減するには

建設業許可の申請手続きは、要件確認から書類収集・作成、窓口への提出、審査対応、さらには取得後の変更届や更新管理まで、継続的に事務負担が発生します。特に中小の建設業者では、本業の施工管理と並行してこれらの事務作業をこなすのは大きな負担です。

行政書士への申請代行に加え、建設業専門のBPOサービスを活用すれば、許可申請に付随する書類の整理・管理、更新時期のリマインド、決算変届の作成補助など、許可の維持に関わる事務作業を効率化できます。建設業BPOの活用方法もあわせてご検討ください。

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