建設業許可の種類と取得要件:一般と特定の違いをわかりやすく解説
建設業許可の29業種分類、一般建設業と特定建設業の違い、取得に必要な5要件を具体例付きで初心者にも分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 建設業許可は29業種(一式2+専門27)に区分され、工事の内容に応じて取得が必要
- 一般建設業と特定建設業は元請から下請への発注金額で区分が決まる
- 取得には経管・専技・財産的基礎・誠実性・欠格要件の5要件すべてを満たす必要がある
- 許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要
建設業を営むには、原則として建設業許可が必要です。しかし許可の種類や取得要件は複雑で、「うちの会社はどの許可が必要なのか」と悩む方も少なくありません。本記事では、建設業許可の基本的な仕組みから29業種の分類、一般建設業と特定建設業の違い、取得に必要な5つの要件まで、実務に即して解説します。
建設業許可の基本:なぜ許可が必要なのか
建設業法第3条は、建設業を営む者に対して、原則として国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けることを義務づけています。これは建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するためです。
ただし、以下の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は許可が不要です。
- 建築一式工事:請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事
- その他の工事:請負代金が500万円未満の工事
注意
許可の区分は、営業所の設置状況によって2種類に分かれます。
- 国土交通大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合
- 都道府県知事許可:1つの都道府県のみに営業所を設置する場合
知事許可であっても、営業所のない他の都道府県で工事を施工すること自体は可能です。許可の区分はあくまで「営業所の所在地」で決まります。
29業種の分類と業種選びの考え方
建設業許可は、工事の種類に応じて29業種に区分されています。2つの一式工事と27の専門工事から構成されます。
一式工事(2業種)
- 土木一式工事:総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事
- 建築一式工事:総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事
注意
専門工事(27業種)
専門工事は以下の27業種に分かれます。
- 大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事
ポイント
業種選びのポイント
許可を申請する際は、自社が実際に請け負う工事の内容に合った業種を選ぶ必要があります。判断に迷う場合は、以下の点に注意してください。
- 工事の「名称」ではなく「内容」で判断する(例:「リフォーム工事」という名称でも、内容が内装仕上工事なら「内装仕上工事」の許可が必要)
- 複数の業種にまたがる工事を一括で請け負う場合は、一式工事の許可が必要になることがある
- 将来受注したい工事も見据えて、必要な業種を検討する
一般建設業と特定建設業の違い
建設業許可は、元請として下請に出す工事の金額によって「一般建設業」と「特定建設業」に区分されます。
一般建設業許可
下請代金の総額が5,000万円未満(建築一式工事の場合は8,000万円未満)の場合に必要な許可です。下請としてのみ工事を受注する場合は、金額にかかわらず一般建設業許可で足ります。
特定建設業許可
元請として請け負った工事について、下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合に必要な許可です。
ポイント
一般と特定の主な違いまとめ
| 項目 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 下請への発注金額 | 5,000万円未満(建築一式8,000万円未満) | 5,000万円以上(建築一式8,000万円以上) |
| 専任技術者の要件 | 実務経験または一定の資格 | 指導監督的実務経験または上位資格 |
| 財産的基礎 | 500万円以上の資金調達能力 | 資本金2,000万円以上等の厳格な要件 |
| 下請保護規定 | なし | あり(下請代金の支払期日制限等) |
注意
建設業許可の取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
要件1:経営業務の管理責任者がいること
法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人事業の場合は事業主本人または支配人が、建設業の経営業務について一定の経験を有している必要があります。
具体的には、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験がある
- 建設業に関して5年以上の経営業務管理責任者に準ずる地位にあった経験がある(執行役員等)
- 建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者に準ずる地位にあった経験がある(経営業務の執行に関与)
ポイント
要件2:専任技術者がいること
営業所ごとに、許可を受けようとする業種に対応した専任技術者を配置する必要があります。
一般建設業の場合:
- 指定学科を卒業後、高卒で5年以上、大卒で3年以上の実務経験
- 10年以上の実務経験
- 国家資格の保有(1級・2級施工管理技士、建築士、技術士など)
特定建設業の場合:
- 国家資格の保有(1級施工管理技士、1級建築士、技術士など上位資格に限定される業種がある)
- 一般建設業の専任技術者要件を満たし、かつ発注者から直接請け負った5,000万円以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験
要件3:財産的基礎または金銭的信用があること
一般建設業の場合(いずれか1つ):
- 自己資本が500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力がある(金融機関の残高証明書で証明)
- 許可申請直前の過去5年間に許可を受けて継続して営業した実績がある
特定建設業の場合(すべて満たす必要あり):
- 欠損の額が資本金の20%を超えていない
- 流動比率が75%以上
- 資本金が2,000万円以上
- 自己資本が4,000万円以上
要件4:請負契約に関して誠実性があること
法人の場合はその法人・役員等、個人事業の場合は事業主本人・支配人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが必要です。具体的には、建築士法や宅地建物取引業法等で免許取り消し処分を受けて5年を経過していない場合などが該当します。
要件5:欠格要件に該当しないこと
以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。
- 破産者で復権を得ない者
- 建設業許可を取り消されて5年を経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり5年を経過しない者
- 建設業法や刑法等の特定の法律に違反して罰金刑に処せられ、5年を経過しない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
許可の申請手続きと更新
申請先と手数料
- 知事許可:主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事(手数料9万円)
- 大臣許可:主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局等(登録免許税15万円)
具体的な申請手順や必要書類の一覧、申請書の記入ポイントについては「建設業許可の申請方法と必要書類」で詳しく解説しています。
許可の有効期間と更新
建設業許可の有効期間は5年間です。引き続き建設業を営む場合は、期間満了日の30日前までに更新申請を行う必要があります。更新を忘れると許可が失効し、再度新規申請が必要になるため注意が必要です。
また、許可の取得後も、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変届出書(事業年度終了届)」を提出する義務があります。この届出を怠ると、更新申請が受理されないことがあります。公共工事の入札に参加する場合は、許可の取得に加えて経営事項審査(経審)の受審も必要です。
変更届の提出
以下のような変更が生じた場合は、一定期間内に変更届を提出する必要があります。
- 経営業務の管理責任者の変更(変更後2週間以内)
- 専任技術者の変更(変更後2週間以内)
- 商号・名称の変更(変更後30日以内)
- 営業所の所在地変更(変更後30日以内)
- 役員の就任・退任(変更後30日以内)
許可取得・維持の実務負担を軽減するには
建設業許可の取得・維持に関する事務作業は、書類の収集から申請書類の作成、各種変更届の提出、5年ごとの更新手続きまで多岐にわたります。特に複数の業種で許可を取得している場合や、事業拡大に伴い一般から特定への変更(般特新規)を検討する場合は、手続きが煩雑になりがちです。
安全書類の作成やグリーンサイトへの入力と同様に、許可関連の事務作業も本来の施工管理業務を圧迫する要因となります。建設業専門のBPOサービスを活用すれば、許可申請に付随する書類整理や変更届の管理、更新時期のリマインドまで含めて効率化できます。建設業BPOの活用方法も併せてご検討ください。