再下請負通知書の書き方ガイド:記入例・添付書類・提出ルールを完全解説
再下請負通知書(全建統一様式第1号-甲・乙)の書き方を項目別に詳しく解説。記入例テーブルで正しい書き方・よくある誤りを比較し、添付書類チェックリスト、提出が必要なケース、改訂6版での変更点、一人親方への対応まで網羅。初めて作成する方にも分かりやすいガイドです。
この記事のポイント
- 再下請負通知書は建設業法第24条の8に基づき施工体制台帳の添付書類として提出
- 第1号-甲が基本様式、再下請負先が2社以上なら第1号-乙を追加する
- 下請階層に制限はなく全ての段階で元請への通知が必要
- 改訂6版で押印欄廃止・外国人建設就労者の項目削除・CCUS連携が変更点
再下請負通知書は、下請業者が更に下請契約を締結した際に元請業者へ提出する書類です。施工体制台帳の添付書類として重要な役割を持ち、記載漏れや誤りがあると差し戻しの原因になります。本記事では、全建統一様式第1号-甲・乙の記入方法を項目別に解説し、記入例テーブル、添付書類チェックリスト、改訂6版での変更点までまとめています。
再下請負通知書とは
再下請負通知書は、建設業法第24条の8第2項に基づき、下請負人が請け負った工事の一部を更に別の業者に下請に出す場合に、その事実を元請業者に通知するための書類です。施工体制台帳の添付書類の一つとして位置づけられており、元請業者が工事に関わる全ての業者を正確に把握するために欠かせません。
全建統一様式第1号-甲と第1号-乙の違い
再下請負通知書には、全建統一様式第1号-甲と第1号-乙の2種類があります。
- 第1号-甲(基本様式):自社(通知人)の情報と、再下請負に出す相手先(再下請負人)1社の情報を記載する基本の様式です。再下請負が発生した場合、必ずこの甲を1通作成します。甲には「自社に関する事項」と「再下請負関係」の両方の記載欄があります
- 第1号-乙(続紙):甲の続紙として、再下請負先が2社以上ある場合に、2社目以降の再下請負先の情報を記載するために使用します。乙には「再下請負関係」の記載欄のみがあり、再下請負先1社につき乙1枚を追加します
たとえば、自社が3社に再下請負を出す場合は「甲1枚 + 乙2枚」の計3枚を作成します。
提出の流れ
再下請負通知書は、施工体制台帳の添付書類として元請業者に届けます。ただし、2次下請以降の業者が直接元請に提出するのではなく、上位の下請業者を経由して元請に届けるのが一般的な流れです。
たとえば、3次下請のC社が再下請負通知書を作成した場合は、まず2次下請のB社に提出し、B社がまとめて1次下請のA社へ提出し、最終的にA社が元請に届けるという経路をたどります。
ポイント
提出が必要なケース
再下請負通知書は、下請負人が更に下請契約を締結した場合に提出が必要です。以下の条件を確認してください。
対象となる工事
再下請負通知書の提出義務は、施工体制台帳の作成義務がある工事で発生します。
- 公共工事:入札契約適正化法(入契法)第15条により、下請金額に関わらず全ての下請契約で施工体制台帳の作成が義務付けられています。したがって、公共工事では再下請負が発生すれば必ず通知が必要です
- 民間工事:下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の場合に施工体制台帳の作成義務があり、再下請負通知書の提出も必要になります(2025年2月施行の建設業法施行令改正で金額基準が引き上げられました)
提出義務者
再下請負通知書の提出義務は、自社が更に下請契約を締結した「下請負人」にあります。ここで重要なのは、特定建設業者でなくても、一般建設業許可の業者であっても提出義務がある点です。下請階層に制限はなく、2次下請、3次下請、4次下請と、再下請負が発生する全ての段階で通知を行わなければなりません。
ポイント
提出期限の目安
建設業法には再下請負通知書の提出期限について明確な日数規定はありませんが、実務上は以下の目安が一般的です。
- 再下請契約を締結した後、遅滞なく提出する
- 多くの元請業者は「契約締結後○日以内」「着工の○日前まで」などの独自ルールを定めている
- 施工体制台帳は工事着手前に整備する必要があるため、再下請負通知書も着工前の提出が原則
提出が遅れると施工体制台帳が不完全な状態となり、元請業者が建設業法違反を問われるおそれがあります。契約が成立したら速やかに作成・提出しましょう。
記入項目の詳細解説
再下請負通知書(第1号-甲)は、大きく「自社(通知人)に関する事項」と「再下請負先(再下請負人)に関する事項」の2つのパートに分かれています。それぞれの記載項目を解説します。
自社(通知人)に関する事項
自社の基本情報と、自社が担当する工事に関する事項を記載するパートです。
- 会社名・事業者ID:自社の正式名称を記載します。CCUS(建設キャリアアップシステム)に登録している場合は事業者IDも記載します
- 代表者名:代表取締役などの代表者の氏名を記載します。個人事業主の場合は事業主本人の氏名を記載します
- 住所:本社の所在地を記載します。登記上の住所と実際の事業所が異なる場合は、登記上の住所を記載するのが原則です
- 建設業許可番号・許可業種:建設業許可番号を「○○県知事許可(般-○○)第○○○○号」のように正確に記載します。複数の業種の許可を持っている場合は、当該工事に関係する業種を記載します
- 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況:それぞれ「加入」「未加入」「適用除外」のいずれかを記載します。保険者名称(全国健康保険協会、○○健康保険組合など)も正確に記載が必要です
- 主任技術者の氏名・資格・専任の有無:当該工事に配置する主任技術者について記載します。資格名は「1級建築施工管理技士」のように正式名称で記載し、実務経験による場合はその旨を記載します。専任の場合は「専任」と明記します
再下請負先(再下請負人)に関する事項
自社が下請に出す相手先の情報と、再下請負する工事の内容を記載するパートです。
- 会社名・住所:再下請負先の正式名称と所在地を記載します。一人親方の場合は個人名(屋号がある場合は屋号)と住所を記載します
- 建設業許可番号:再下請負先の建設業許可番号を記載します。500万円未満(建築一式は1,500万円未満)の軽微な工事のみを請け負う場合は許可不要のため、「許可なし」と記載します
- 工事名称・工事内容:再下請負する工事の名称と具体的な内容を記載します。「○○ビル新築工事のうち電気設備工事」のように、元請工事との関係が分かるように記載します
- 工期:再下請負する工事の着工日と竣工日を記載します。元請工事全体の工期ではなく、再下請負部分の工期です
- 契約日:再下請負契約を締結した日付を記載します。契約書や注文請書の日付と一致させてください
- 社会保険の加入状況:再下請負先の健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況を記載します。法人であれば原則として全て「加入」、一人親方の場合は健康保険「建設国保(国民健康保険)」、年金「国民年金」、雇用保険「適用除外」と記載します
- 主任技術者の情報:再下請負先が配置する主任技術者の氏名、資格、専任の有無を記載します。建設業許可が不要な軽微な工事の場合でも、元請から主任技術者の記載を求められることがあります
ポイント
記入例テーブル
再下請負通知書の主な記入項目について、正しい記入例とよくある誤りをまとめました。実際に記入する際の参考にしてください。
| 項目名 | 正しい記入例 | よくある誤り |
|---|---|---|
| 会社名 | 株式会社山田建設 | (株)山田建設(略称は不可) |
| 事業者ID(CCUS) | 1234567890(10桁) | 未登録の場合に空欄のまま(「未登録」と記載する) |
| 建設業許可番号 | 東京都知事許可(般-05)第123456号 | 知事許可(般)第123456号(年度・都道府県名の省略) |
| 許可業種 | 電気工事業、管工事業 | 電気工事(「業」の脱落)、該当しない業種の記載 |
| 健康保険 | 加入(全国健康保険協会) | 加入(保険者名称の記載漏れ) |
| 厚生年金 | 加入(厚生年金基金なし) | 社会保険加入(健康保険との区別が不明確) |
| 雇用保険 | 加入(被保険者番号:○○○○-○○○○○○-○) | 加入のみ(被保険者番号の記載漏れ) |
| 主任技術者の資格名 | 1級電気工事施工管理技士 | 電気工事施工管理技士(等級の記載漏れ) |
| 専任の有無 | 専任 | 常駐(「専任」と「常駐」は意味が異なる) |
| 工事名称 | ○○ビル新築工事のうち電気設備工事 | 電気工事(元請工事との関係が不明) |
| 工期 | 2026年3月1日〜2026年8月31日 | 3/1〜8/31(年の省略、元請工事全体の工期と混同) |
| 契約日 | 2026年2月15日 | 着工日を記載(契約日と着工日の混同) |
添付書類チェックリスト
再下請負通知書とともに提出が必要な添付書類を以下にまとめます。元請業者によって求められる書類が異なる場合がありますので、着工前に確認してください。
なお、社会保険の加入証明については種類が多く記載方法に迷いやすいため、別途詳しく解説しています。一人親方の場合は労災保険の特別加入証明書も必要です。詳しくは一人親方の安全書類対応ガイドをご確認ください。
改訂6版での変更点
2024年10月にリリースされた全建統一様式改訂6版では、再下請負通知書に関していくつかの重要な変更がありました。旧版(改訂5版)のテンプレートを使い続けていると差し戻しの原因になりますので、必ず最新版に更新してください。
押印欄の廃止
改訂6版の全様式共通の変更として、押印欄が廃止されました。再下請負通知書(第1号-甲・乙)も同様です。これにより、電子データ(PDF等)での提出・保管がしやすくなり、紙に印刷して押印するという手間がなくなりました。
ただし、押印欄の廃止は「署名が不要になった」という意味ではありません。元請によっては電子署名やサインを求める場合がありますので、提出方法は元請の指示に従ってください。
外国人建設就労者の項目削除
「特定活動」在留資格による外国人建設就労者受入事業が終了したことに伴い、外国人建設就労者に関する項目が削除されました。一方、外国人技能実習生や特定技能外国人に関する項目は引き続き残っています。外国人労働者を雇用している場合は、在留資格に応じた正しい記載が必要です。
CCUSとの連携
改訂5版から導入されたCCUS(建設キャリアアップシステム)の事業者ID記載欄は、改訂6版でも引き続き設けられています。現時点では任意記載ですが、公共工事や大手ゼネコンの現場ではCCUS番号の記載を求めるケースが増えています。
CCUS番号を記載することで、事業者情報や技能者情報との照合が容易になり、施工体制の透明性が向上します。早めの登録をおすすめします。
ポイント
まとめ
再下請負通知書は、施工体制台帳を正確に整備するために欠かせない書類です。記載のポイントを改めて整理します。
- 提出のタイミング:再下請契約を締結したら遅滞なく提出する。着工前の提出が原則
- 甲と乙の使い分け:甲は必ず1通作成し、再下請負先が2社以上ある場合は乙を追加する
- 正確な情報の記載:建設業許可番号、社会保険の加入状況、主任技術者の資格名など、証明書類で確認しながら記入する
- 添付書類の確認:許可証の写し、資格証明書の写し、社会保険加入証明書など、必要な書類を漏れなく添付する
- 改訂6版への対応:押印欄の廃止、外国人建設就労者の項目削除、CCUS記載欄など、最新様式を使用する
再下請負通知書の作成は手間がかかる作業ですが、施工体制の透明化とコンプライアンス確保のために重要な手続きです。記載ミスや提出漏れを防ぐため、本記事の記入例テーブルとチェックリストを活用してください。
ポイント