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建設業の人手不足対策|労働力不足の原因分析から人材確保・省人化の実践策まで

建設業の労働力不足の現状を統計データで解説し、採用力強化・離職防止・外国人材活用・バックオフィスDX・ICT施工の5つの人材確保策を紹介。中小建設業者がすぐ始められる3つのアクションも具体的に解説します。

15分で読める
#人手不足#人材確保#採用#働き方改革#DX

この記事のポイント

  • 建設業就業者はピーク時の685万人から約479万人へ約30%減少している
  • 55歳以上が約36%を占め29歳以下は約12%と高齢化・若者離れが深刻
  • 対策は採用力強化・離職防止・外国人材・バックオフィスDX・ICT施工の5軸
  • バックオフィスBPO活用は月額5万円程度から始められ即効性が高い

建設業の人手不足は年々深刻さを増しています。就業者数の減少、高齢化の進行、若者の入職減少が同時に進むなか、2024年4月からは時間外労働の上限規制も適用され、「人が足りない、でも残業もできない」という状況に直面している企業も少なくありません。

本記事では、統計データに基づいて人手不足の現状を整理したうえで、採用力強化・離職防止・外国人材活用・バックオフィスDX・ICT施工の5つの対策を、中小建設業者でも実践できるレベルで解説します。

建設業の人手不足の現状

就業者数の推移

建設業の就業者数は長期的な減少傾向にあります。総務省「労働力調査」によると、建設業就業者数はピークの1997年に685万人を記録しましたが、その後は公共投資の縮小や景気後退の影響を受けて減少が続き、2024年時点では約479万人となっています。ピーク時から約30%、200万人以上が減少した計算です。

建設業就業者数備考
1997年約685万人ピーク
2010年約498万人リーマンショック後
2020年約492万人コロナ禍
2024年約479万人現在

出典:総務省「労働力調査」

高齢化の進行

建設業の就業者に占める年齢構成は、全産業と比較しても際立って偏っています。総務省「労働力調査」(2023年)によると、建設業就業者のうち55歳以上が約36%を占める一方、29歳以下は約12%にとどまります。

全産業平均では55歳以上が約31%、29歳以下が約16%であり、建設業は「高齢者が多く、若者が少ない」構造が鮮明です。現在55歳以上の就業者は今後10年で大量に退職する見込みであり、世代交代が追いつかなければ技能者不足はさらに加速します。

有効求人倍率の高さ

厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、建設技能工の有効求人倍率は約5〜6倍で推移しています。これは全産業平均(約1.2〜1.3倍)の約4倍に相当し、建設業が他産業と比較して圧倒的に人材を確保しにくい状況にあることを示しています。

特に土木・型枠・鉄筋・とびなどの専門職種では求人倍率がさらに高く、地方では人材の奪い合いが常態化しています。

2024年問題の影響

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。原則として月45時間・年360時間、特別条項を付けても年720時間が上限となり、違反した場合は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます(労働基準法第119条)。

これにより、従来の「人手不足を残業でカバーする」という対応が法的に不可能となり、限られた労働時間のなかで生産性を維持する仕組みづくりが急務となっています。詳しくは「36協定と建設業:届出様式・記載例・罰則まで徹底解説」をご参照ください。

人手不足の3大原因

原因1:高齢化と大量離職

建設業の人手不足の最大の要因は、就業者の高齢化に伴う大量離職です。いわゆる団塊世代(1947〜1949年生まれ)はすでに完全引退しつつあり、その次の世代(1950年代〜1960年代前半生まれ)も定年を迎える時期に入っています。

高齢技能者の離職は単なる頭数の問題にとどまりません。長年の経験で培われた施工技術やノウハウが次世代に引き継がれないまま失われるリスクがあります。暗黙知として蓄積された現場の判断力は、マニュアル化が難しく、意識的な技術継承の取り組みがなければ組織の技術力そのものが低下する恐れがあります。

原因2:若者の建設業離れ

建設業は依然として「きつい・汚い・危険(3K)」というイメージが根強く、若者から就職先として選ばれにくい状況が続いています。

他産業との処遇格差も大きな要因です。建設業の年間実労働時間は全産業平均より約300時間以上長い一方、若年層の賃金水準は必ずしも高くありません。さらに、週休2日制の普及が遅れており、「4週4休」(隔週休2日に相当)すら確保できない現場もあります。休日の少なさは、特にワークライフバランスを重視する若い世代の入職障壁となっています。

原因3:労働環境の課題

建設業特有の労働環境も、人材確保を困難にしている要因です。

  • 長時間労働:工期に合わせた作業が基本であるため、繁忙期には長時間労働が常態化しやすい
  • 天候に左右される作業環境:屋外作業が中心のため、雨天・猛暑・厳寒などの環境下での作業を避けられない
  • 収入の不安定さ:日給月給制が多く、天候不良や閑散期は収入が減少する。月給制の企業と比べて将来の収入見通しが立てにくい

これらの課題は相互に関連しており、1つだけを改善しても効果は限定的です。次章以降で紹介する5つの対策を組み合わせて取り組むことが重要です。

対策1 — 採用力の強化

人手不足の解消に向けて、まず見直すべきは採用活動そのものです。従来のハローワークや知人紹介だけに頼る採用では、十分な応募数を確保できなくなっています。

求人媒体の見直し

ハローワークに加えて、以下の求人チャネルを活用することで、求職者との接点を増やせます。

  • Indeed:国内最大級の求人検索エンジン。建設業の求人も多数掲載されており、無料掲載から始められる
  • 建設業特化の求人サイト:業界に特化しているため、建設業で働きたい求職者に的確にリーチできる
  • 求人ボックス、スタンバイ:Indeed同様の求人検索エンジン。複数媒体への掲載で露出を増やす

自社の採用ページ充実

求職者の多くは求人を見つけた後、企業のホームページを確認します。自社ホームページに採用専用ページを設け、以下の情報を掲載しましょう。

  • 実際の現場写真や社員の声(動画があればなお良い)
  • 具体的な1日のスケジュール
  • 給与・賞与・休日などの処遇情報
  • 未経験者の教育体制・キャリアパス
  • 資格取得支援制度の内容

教育機関との連携

長期的な人材確保のためには、工業高校・職業訓練校・建設系専門学校との連携が有効です。

  • 合同企業説明会への参加
  • インターンシップ・現場見学会の定期開催
  • 職業訓練校への講師派遣

SNSを活用した情報発信

Instagram、YouTube、TikTokなどで現場の日常や働く魅力を発信する建設会社が増えています。「建設業=3K」のイメージを覆す情報発信は、特に若年層へのアプローチに有効です。施工のタイムラプス動画や重機操作の様子は再生回数が伸びやすく、会社の認知度向上にもつながります。

ポイント

採用活動では「自社で働くことの魅力」を言語化することが第一歩です。給与や休日だけでなく、「どんな仕事を任されるのか」「どう成長できるのか」を具体的に伝えましょう。

対策2 — 離職防止と定着率向上

人材を採用できても、すぐに辞められてしまっては意味がありません。建設業の離職率は全産業平均と比べて高く、特に入職3年以内の離職が課題です。定着率の向上は、採用コストの削減にもつながります。

処遇改善

  • 日給月給制から月給制への移行:天候不良による休工で収入が減少するリスクをなくし、生活の安定を確保する
  • 賃金水準の引き上げ:国土交通省は公共工事設計労務単価を毎年引き上げており、これに連動した賃金改善が求められる
  • 賞与・各種手当の整備:資格手当、現場手当、通勤手当などを整備することで、総合的な処遇を改善する

週休2日制の導入

国土交通省は直轄工事において4週8閉所(週休2日)を標準化しており、民間工事でも週休2日の流れが広がっています。段階的に休日を増やすアプローチとして、以下のステップが考えられます。

  1. まず4週6休(隔週で土曜休み)を確保する
  2. 次に4週7休に移行する
  3. 最終的に4週8休(完全週休2日)を実現する

CCUSを活用したキャリアパスの見える化

建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用することで、技能者の経験・資格が客観的に評価され、レベル1〜4の能力評価と連動したキャリアパスを見える化できます。「頑張れば報われる」仕組みを示すことは、特に若年技能者のモチベーション維持と定着に効果的です。

その他の定着施策

  • 安全教育・研修制度の充実:計画的な教育体系を整備し、スキルアップの機会を提供する
  • メンター制度の導入:新入社員に先輩社員をメンターとして割り当て、技術面・精神面の両方をサポートする
  • コミュニケーションの活性化:定期面談の実施、意見を言いやすい職場づくり

対策3 — 外国人材の活用

国内の労働力だけでは建設業の需要を満たすことが難しくなるなか、外国人材の活用は有力な選択肢の1つです。建設業では特定技能1号と育成就労制度(旧技能実習に代わる新制度)を通じた受入れが中心となります。

特定技能1号(建設分野)

2019年4月に創設された在留資格で、建設分野では土木・建築・ライフライン/設備の3区分が設定されています。通算5年の在留が可能で、技能評価試験と日本語試験(日本語能力試験N4以上)に合格した外国人が対象です。

受入企業に求められる主な要件は以下のとおりです。

  • 建設業許可を取得していること
  • CCUS(建設キャリアアップシステム)に事業者登録していること
  • 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に加入していること
  • 日本人と同等以上の報酬を月額給与制で支払うこと
  • 建設特定技能受入計画の国土交通大臣認定を受けること

育成就労制度

2024年6月に育成就労法が成立し、2027年4月1日の施行が予定されています。これは技能実習制度を発展的に解消し、人材の「育成」と「確保」を正面から目的に掲げる新制度です。基本期間は3年で、一定の要件のもと転籍(転職)が認められる点が技能実習制度からの大きな変更点です。

項目技能実習制度育成就労制度
目的技能移転による国際貢献人材の育成・確保
基本期間最大5年3年
転籍(転職)原則不可一定要件のもと可能
特定技能への移行2号修了で1号に移行可修了で1号に移行を想定

受入れのメリットと注意点

外国人材の受入れは、人手不足の直接的な解消策となるだけでなく、若い労働力の確保によるチームの活性化、多文化共生による組織の柔軟性向上といったメリットもあります。

一方で、言語の壁への対応(安全教育の多言語化、日常コミュニケーション)、在留資格管理の厳格化(在留期間の管理、各種届出)、文化的な配慮(宗教、食事、生活習慣)が必要です。CCUS登録も原則として求められます。

外国人労働者の受入れに必要な手続きや書類対応の詳細は「建設業における外国人労働者の受入れ」で網羅的に解説しています。

対策4 — バックオフィスDXによる省人化

人手不足の対策は「人を増やす」ことだけではありません。既存の人材が本来の業務に集中できる環境を整えることで、限られた人員で生産性を最大化するアプローチも重要です。

バックオフィス業務の負担

建設業の技術者は、現場の施工管理と並行して膨大な事務作業を抱えています。

国土交通省の調査でも、建設技術者の業務時間のうち事務作業が占める割合は少なくなく、「現場に出たいのに書類仕事で手が離せない」という状況は多くの現場監督が共有する悩みです。

BPOサービスの活用

バックオフィス業務の負担を減らす有効な手段が、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用です。建設業に特化したBPOサービスでは、安全書類の作成代行、グリーンサイト入力代行、CCUS登録代行などをまとめて委託できます。

BPO活用の主なメリットは以下のとおりです。

  • 技術者の現場業務への集中:事務作業から解放されることで、施工管理や安全管理に注力できる
  • 初期投資の少なさ:正社員を雇用する場合と比べて、月額5万円程度から始められる
  • 品質の安定:建設業の書類に精通した専門スタッフが対応するため、差し戻しが減少する
  • 制度変更への対応:法改正や様式変更をBPO事業者側でキャッチアップしてくれる

事務代行サービスの詳細は「建設業の事務代行サービス完全ガイド」もご参照ください。

ポイント

BPOは「人手不足を直接解消する」のではなく、「限られた人材をコア業務に集中させる」ことで実質的な労働力を確保する対策です。特に技術者が事務作業に月20〜40時間を費やしている場合、BPO活用の効果は大きくなります。

クラウドツールの導入

BPOの活用と並行して、業務そのものをデジタル化するクラウドツールの導入も効果的です。

  • グリーンサイト:安全書類のオンライン管理。紙ベースの書類作成・郵送の手間を削減
  • クラウド勤怠管理:スマートフォンで打刻でき、リアルタイムに労働時間を把握。上限規制の管理にも役立つ
  • クラウド会計ソフト:請求書の発行、入金管理、経理処理を効率化

RPA活用の可能性

定型的な繰り返し作業が多い場合は、RPA(Robotic Process Automation)の活用も選択肢に入ります。データの転記、帳票の自動作成、期限管理のアラート発信など、ルールが明確な業務はRPAとの相性が良い分野です。ただし、導入コストや運用体制の確保が必要なため、まずはBPOやクラウドツールから始めるのが現実的です。

対策5 — 工法改善・ICT施工

人を減らしても品質と安全を維持するために、工法そのものを改善して省人化を図るアプローチです。国土交通省はi-Construction(ICT施工)を推進しており、建設業のDXは着実に進んでいます。

i-Construction(ICT施工)の推進

i-Constructionとは、ICT(情報通信技術)を建設現場の全プロセスに導入することで、生産性を向上させる取り組みです。国土交通省は2016年度から推進しており、直轄工事ではICT施工が標準化されつつあります。

主な技術は以下のとおりです。

  • ドローン測量:従来は測量士が数日かけていた作業を、ドローンで数時間に短縮。3次元点群データの取得により、高精度な現況把握が可能
  • 3Dマシンコントロール:ICT建機により、丁張り作業を省略。オペレーター1人で高精度な施工が可能になり、補助作業員の配置を減らせる
  • 3次元設計データの活用:設計から施工、検査まで3次元データを一貫して活用することで、手戻りを削減

BIM/CIM活用

BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)は、3次元モデルに属性情報を付与して建物や構造物を管理する手法です。設計段階で干渉チェック(異なる設備同士がぶつからないかの確認)を行うことで、施工段階での手戻りを大幅に削減できます。

国土交通省は2023年度から原則としてBIM/CIMを全直轄事業に適用しており、今後は民間工事にも普及が進む見通しです。

プレファブ工法

工場で部材を製造し、現場では組み立てるだけにするプレファブ(プレハブ)工法は、現場作業の削減と工期短縮に直結します。品質管理を工場で行えるため、天候に左右されず、安定した品質を確保できるメリットもあります。

ロボット・自動化技術

建設現場向けのロボット技術も進化しています。溶接ロボット、鉄筋結束ロボット、コンクリート打設ロボット、清掃ロボットなど、省人化に寄与する技術が実用化されつつあります。大手ゼネコンを中心に導入が進んでおり、今後は中小規模の現場にも普及が期待されます。

ポイント

ICT施工やBIM/CIMは「大手ゼネコンだけのもの」ではありません。ドローン測量の外注や、ICT建機のレンタルなど、初期投資を抑えて導入する方法もあります。国や自治体の補助金・助成制度の活用も検討しましょう。

中小建設業者がすぐに始められる3つのアクション

ここまで5つの対策を紹介しましたが、すべてを一度に実行するのは現実的ではありません。中小建設業者がまず取り組むべき、費用対効果が高く、すぐに始められるアクションを3つに絞って紹介します。

アクション1:バックオフィス業務のBPO委託

コスト目安:月額3万円〜10万円 期待効果:技術者1人あたり月20〜40時間の事務作業を削減

安全書類の作成やグリーンサイト入力など、定型的な事務作業をBPOサービスに委託します。技術者が現場業務に集中できる体制をつくることが、最も即効性のある省人化策です。BPOサービスの選び方や費用比較は「建設業の事務代行(BPO)とは?導入メリットと選び方を解説」で詳しく紹介しています。

アクション2:求人方法の見直しとSNS活用

コスト目安:月額0円〜5万円(Indeed無料掲載+SNS運用の場合) 期待効果:応募数の増加、企業認知度の向上

ハローワーク以外の求人チャネル(Indeed、建設業特化サイト)に求人を掲載し、応募の入り口を広げます。同時に、Instagram等で現場の日常を発信することで、会社の雰囲気を求職者に伝えましょう。

アクション3:週休2日制の段階的導入

コスト目安:工期の1.1〜1.2倍への補正が必要(発注者との協議) 期待効果:離職率の低下、求人への応募増

いきなり完全週休2日が難しい場合は、まず4週6休からスタートし、段階的に休日を増やしていきます。発注者への説明では、国土交通省の「適正な工期設定等のためのガイドライン」を参考資料として活用できます。

まとめ:建設業の人手不足を乗り越えるために

建設業の労働力不足は、高齢化による大量離職・若者の入職減少・労働環境の課題という3つの構造的要因が重なり合って生じています。2024年問題(時間外労働の上限規制)の適用により、従来の「残業でカバーする」対応は不可能となり、人材確保と省人化の両面からの対策が不可欠です。

本記事で紹介した5つの対策を整理すると以下のとおりです。

対策即効性初期コスト主な効果
採用力の強化低〜中応募数の増加、若年層へのリーチ
離職防止・定着率向上離職率の低下、採用コストの削減
外国人材の活用中〜高直接的な人員確保
バックオフィスDX・BPO技術者の現場集中、実質的な省人化
工法改善・ICT施工低〜中中〜高生産性向上、省人化

人手不足に特効薬はありませんが、これら5つの軸で複合的に取り組むことで、着実に状況を改善できます。特に中小建設業者は、初期コストが低く即効性の高いバックオフィスBPOの活用から始め、並行して採用力の強化や処遇改善に取り組むのが現実的です。

まずは自社の課題を整理し、最も効果が見込める施策から一歩ずつ始めていきましょう。建設業のDX推進BPOサービスの活用について、さらに詳しく知りたい方はそれぞれの記事もご参照ください。

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