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建設業2024年問題は無理?2026年現在の実態と5つの実務対策

建設業の2024年問題は本当に「無理」なのか?適用から2年経過した2026年現在の是正勧告・書類送検の実態と、月5万円から始められるBPO活用を含む5つの実務対策を解説します。

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#2024年問題#残業規制#時間外労働#働き方改革#36協定#建設業法

この記事のポイント

  • 建設業の2024年問題とは5年間の猶予終了で時間外労働の罰則付き上限規制が適用されたこと
  • 原則は月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間・月100時間未満が上限
  • 適用後2年で労基署の是正勧告・書類送検事例が増加し企業名公表リスクも現実化
  • 対策の5本柱は工程改善・ICT活用・週休2日・事務BPO・適正工期確保
  • 事務作業のBPO活用は月額5万円程度から始められ即効性が高い対策

「建設業の2024年問題」とは、2024年4月1日から建設業にも時間外労働の上限規制が罰則付きで全面適用されたことを指す総称です。2018年の働き方改革関連法成立から5年間の猶予期間を経て、ついに建設業にも他業種と同じ労働時間のルールが適用されました。

適用から2年が経過した2026年現在、労働基準監督署による監督指導は強化され、違反企業に対する是正勧告や書類送検のニュースも報じられています。本記事では、2024年問題の全体像から具体的な規制内容、業界への影響、そして中小建設企業が取るべき5つの対策まで、実務目線で網羅的に解説します。

建設業の2024年問題とは

時系列で理解する2024年問題

建設業の2024年問題を正しく理解するために、まず時系列を整理します。

時期出来事
2018年6月働き方改革関連法が成立。労働基準法が改正され、時間外労働に罰則付きの上限規制が導入
2019年4月大企業に上限規制が適用開始
2020年4月中小企業に上限規制が適用開始
2024年3月末建設業・自動車運転・医師の5年間の猶予期間が終了
2024年4月1日建設業にも上限規制が全面適用

改正労働基準法では、時間外労働の上限を原則「月45時間・年360時間」と定めました。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から適用されましたが、建設業は業務の特殊性から5年間の適用猶予が認められていました。

なぜ建設業には5年の猶予があったのか

建設業に猶予が設けられた理由は、主に以下の3点です。

  1. 長時間労働の常態化:建設業の年間実労働時間は全産業平均より約300時間以上長く、即座に対応することが困難と判断された
  2. 天候・季節への依存:屋外作業が中心であるため、天候や季節によって工程が大きく左右される特殊性がある
  3. 繁閑差の大きさ:年度末の工事集中に代表されるように、発注時期の偏りにより繁忙期の業務量が極端に増える

しかし、5年間の猶予はあくまで「準備期間」であって「免除」ではありません。2024年4月以降は、他業種と同じ厳格なルールが適用されています。

注意

猶予期間中に十分な準備ができなかった企業であっても、2024年4月以降の違反は罰則の対象です。「準備が間に合わなかった」は免責事由にはなりません。

時間外労働の上限規制の具体的な内容

2024年4月以降、建設業に適用される時間外労働の上限規制の具体的な内容を整理します。なお、36協定の届出様式や記載例など実務的な詳細は「建設業の36協定|届出様式・特別条項・罰則をわかりやすく解説」で解説しています。

原則上限(一般条項)

36協定を締結・届出した場合でも、時間外労働の上限は原則として以下のとおりです。

項目上限
月の時間外労働45時間以内
年の時間外労働360時間以内

そもそも、労働基準法第32条は法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働者を働かせることを原則禁止しています。36協定は、この禁止を例外的に解除するための手続きであり、36協定の届出なしに時間外労働をさせること自体が違法です。

特別条項付き36協定の上限

臨時的な特別の事情がある場合に限り、特別条項付きの36協定を締結できます。ただし、以下の4つの要件をすべて満たさなければなりません。

要件上限
時間外労働の年間上限年720時間以内
時間外+休日労働の月間上限月100時間未満
時間外+休日労働の複数月平均2〜6か月平均いずれも80時間以内
月45時間超の回数制限年6回まで

ポイント

「月100時間未満」は100時間ちょうどを含みません(99時間59分が上限)。一方、「年720時間以内」は720時間ちょうどを含みます。この違いは実務上の時間管理で重要なポイントです。

災害復旧・復興の事業における一部除外

建設業には、災害の復旧・復興の事業に従事する場合に限り、特別条項の上限のうち2つの要件のみが適用除外となる特例があります。

要件通常の建設工事災害復旧・復興の事業
年720時間以内適用適用
月100時間未満適用適用除外
2〜6か月平均80時間以内適用適用除外
月45時間超は年6回まで適用適用

注意すべきは、年720時間と年6回の制限は災害復旧であっても適用されるという点です。また、適用除外の対象は「災害の復旧・復興の事業」に厳格に限定されており、「工期に間に合わないから」「繁忙期だから」という理由では適用除外にはなりません。

罰則と行政処分のリスク

刑事罰

上限規制に違反した場合の罰則は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(労働基準法第119条)。

違反内容罰則
36協定を届け出ずに時間外労働をさせた6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
原則上限(月45時間・年360時間)を超えた同上
特別条項の上限(年720時間等)を超えた同上
時間外+休日が月100時間以上となった同上
2〜6か月平均が80時間を超えた同上

罰則の対象は使用者(事業主および労務管理の責任者)であり、法人の場合は両罰規定(労働基準法第121条)により、行為者個人に加えて法人にも罰金刑が科されます。

注意

上限規制は事業場単位ではなく労働者個人単位で適用されます。複数の現場を掛け持ちしている労働者がいる場合、すべての現場の労働時間を通算して管理する必要があります。1つの現場だけ見て「上限以内」と判断していると、通算で違反となるリスクがあります。

企業名公表と信用リスク

罰金30万円という金額だけを見ると、企業にとって軽い負担に思えるかもしれません。しかし、実際に企業が恐れるべきは刑事罰よりもむしろ以下の「信用リスク」です。

  • 企業名の公表:重大・悪質な違反の場合、厚生労働省が企業名を公表する
  • 公共工事の指名停止:労働基準法違反で送検された場合、入札参加資格に影響する可能性がある
  • 経営事項審査への影響:法令違反は経審のW点(社会性等)に影響し得る
  • 元請からの取引停止:コンプライアンスを重視する元請企業から取引関係を見直される可能性がある

建設業では公共工事の受注が事業の柱となっている企業も多く、企業名公表や指名停止の影響は罰金額をはるかに上回ります。

是正勧告から書類送検までの流れ

労働基準監督署の監督指導は、一般的に以下の流れで進みます。

  1. 定期監督・臨検:労働基準監督官が事業場に立入調査を行う
  2. 是正勧告:法令違反が認められた場合、是正勧告書が交付される
  3. 是正報告:企業は是正期限内に改善措置を講じ、是正報告書を提出する
  4. 再監督:是正が不十分な場合、再度の立入調査が行われる
  5. 書類送検:是正が行われない場合や違反が重大・悪質な場合、検察庁に書類送検される

ポイント

是正勧告の段階で速やかに対応すれば、書類送検に至らないケースがほとんどです。是正勧告を受けた場合は、専門家(社労士等)に相談のうえ、期限内に確実に是正することが重要です。

適用後2年の現状と課題(2026年振り返り)

2024年4月の適用開始から約2年が経過しました。ここでは、2026年時点での業界の対応状況と残された課題を振り返ります。

監督指導の動向

労働基準監督署による建設業への監督指導は、2024年4月の適用開始以降、明確に強化されています。特に以下の傾向が見られます。

  • 定期監督の重点対象化:建設業は重点的に監督指導が行われる業種に位置づけられている
  • 是正勧告件数の増加:時間外労働の上限超過を指摘する是正勧告が増加傾向にある
  • 書類送検事例の公表:悪質な長時間労働を行わせた建設企業が書類送検され、企業名が公表された事例も報じられている

監督署が特に注目しているポイントは、「労働時間の客観的な記録方法の有無」と「36協定の適切な運用状況」です。

業界の対応状況

大手ゼネコンを中心に、勤怠管理システムの導入や週休2日制の推進は進んでいます。一方で、中小建設企業の対応は業種・地域によってばらつきがあります。

進んでいる取り組み:

  • 勤怠管理のデジタル化(ICカード、スマートフォン打刻等)
  • 国土交通省直轄工事における週休2日(4週8閉所)の浸透
  • ICT施工やBIM/CIMの導入による生産性向上

遅れている分野:

  • 民間工事における適正工期の確保
  • 中小規模事業者の勤怠管理体制の整備
  • 複数現場を掛け持ちする作業員の通算労働時間管理

残された課題

2年が経過してもなお、業界全体として解決しきれていない構造的な課題があります。

工期のしわ寄せ問題:発注者が短い工期を求め、元請が上限規制を守りながら対応しきれない場合、下請・孫請にしわ寄せが行く構造は依然として残っています。2025年施行の建設業法改正で工期ダンピングの禁止が強化されたものの、実効性の確保が課題です。

勤怠管理の未整備:特に小規模事業者では、紙のタイムカードや自己申告に頼っている企業も少なくなく、正確な労働時間の把握ができていないケースがあります。

技術者の兼務制約:上限規制により、1人の技術者が複数現場を掛け持ちすることが時間的に困難になり、人員配置の最適化が経営課題となっています。

建設業界への5つの影響

2024年問題は、建設業界に多方面の影響を及ぼしています。

1. 工期の長期化

従来は残業で対応していた工程が、上限規制により吸収できなくなったため、同じ工事でも以前より長い工期を設定する必要が生じています。国土交通省が推奨する週休2日(4週8閉所)を前提とすると、従来工期の1.1〜1.2倍の補正が目安です。

2. 人繰りの難化

労働時間が制限されることで、1人あたりの稼働可能時間が減少します。結果として、同じ工事量をこなすためにより多くの人員が必要になります。深刻な人手不足に直面する建設業にとって、これは大きな課題です。

3. 技術者の兼務制約

特に監理技術者・主任技術者の配置において、上限規制は兼務の物理的な制約となります。複数現場を担当する技術者は、移動時間も含めて労働時間として管理する必要があり、実質的な兼務可能件数が減少しています。建設業法改正で監理技術者の兼任要件が緩和されましたが、依然として人員不足は深刻です。

4. 事務作業負担の増大

上限規制への対応それ自体が、新たな事務負担を生んでいます。

現場の技術者がこれらの事務作業に追われることで、「残業を減らすための管理業務で残業が増える」という本末転倒な状況も報告されています。

5. 人材獲得競争の激化

上限規制は、裏を返せば「建設業の働き方改善」を社会にアピールするチャンスでもあります。しかし、対応が遅れている企業からは人材が流出し、対応が進んでいる企業に集中する傾向が出ています。特に若年層は、週休2日や残業の少なさを重視するため、2024年問題への対応は採用競争力に直結します。

中小建設企業が取るべき5つの対策

ここからは、中小建設企業が実践すべき具体的な対策を、コスト・難易度・効果の3軸で整理します。

対策一覧(比較表)

対策コスト目安導入難易度即効性効果の持続性
1. 工程管理の見直し低(社内対応)
2. ICTツール導入中〜高(月数万〜)中〜高
3. 週休2日制の段階的導入低〜中
4. 事務作業のBPO活用月5万円程度〜
5. 適正工期の確保低(交渉コスト)

対策1:工程管理の見直し

まず着手すべきは、既存の工程管理の見直しです。追加コストをかけずに始められるため、すべての企業が最初に取り組むべき対策です。

具体的なアクション:

  • 過去の工事の労働時間データを分析し、残業が集中する工程を特定する
  • 手戻りの原因を洗い出し、着工前の事前検討を強化する
  • 作業の並行化・前倒しが可能な工程がないか検討する
  • 繁忙期と閑散期の差を平準化するスケジューリングを行う

ポイント

工程管理の改善には「見える化」が重要です。まずは各工程の所要時間を実測し、計画と実績のギャップを定量的に把握するところから始めましょう。

対策2:ICTツール導入による生産性向上

ICTツールを活用して、現場作業と事務作業の両面で生産性を向上させます。

現場作業の効率化:

  • ドローン測量による測量時間の短縮
  • BIM/CIMの活用による設計・施工の一貫管理
  • タブレットでの図面参照・施工記録

事務作業のデジタル化:

建設業DXの導入ガイドも参考にしてください。ただし、ICTツールの導入には初期費用と定着期間が必要なため、即効性を求める場合は他の対策と組み合わせることが重要です。

対策3:週休2日制の段階的導入

国土交通省は直轄工事で週休2日(4週8閉所)を標準化しています。民間工事においても、週休2日の導入は中長期的に避けられない流れです。

段階的な導入ステップ:

  1. まず4週6閉所(隔週土曜休み)から始める
  2. 4週7閉所(月1回の土曜出勤)に移行する
  3. 最終的に4週8閉所(完全週休2日)を目指す

週休2日を導入すると月の稼働日数が減るため、工期の補正と日当単価の見直しが必要です。法定福利費の適正計上やインボイス制度への対応とあわせて、発注者と協議しましょう。

対策4:事務作業のBPO(業務委託)活用

5つの対策のなかで、最も導入が容易かつ即効性が高いのが事務作業のBPO活用です。

建設業の現場技術者は、施工管理という本業以外に、膨大な事務作業を抱えています。安全書類の作成グリーンサイトへの入力施工体制台帳の管理、各種届出書類の作成など、これらの定型業務をBPOに委託することで、技術者1人あたり月10〜20時間の作業時間を削減できるケースもあります。

BPO活用が効果的な業務:

  • 安全書類(グリーンファイル)一式の作成
  • グリーンサイトへのデータ入力・更新
  • 施工体制台帳・施工体系図の作成
  • 作業員名簿の更新管理
  • 各種届出書類の作成補助
  • 見積書の作成補助

月45時間の上限に対して、事務作業で月10〜20時間を削減できれば、上限に対する余裕が大幅に広がります。詳しくは「建設業のBPO活用ガイド」をご覧ください。

ポイント

BPOは月額5万円程度から利用できるサービスもあります。新たに正社員を1名雇用する場合(給与+社会保険料で月40〜50万円)と比較すると、コストパフォーマンスは非常に高いと言えます。

対策5:適正工期の確保

2024年問題の根本的な対策として、適正な工期を確保するための発注者との協議が不可欠です。

建設業法第19条の5では「著しく短い工期の禁止」が規定されています。さらに、2025年施行の建設業法改正では工期ダンピングの禁止が強化されました。

発注者との協議で押さえるべきポイント:

  • 週休2日を前提とした工期設定の必要性を説明する
  • 上限規制の具体的な内容(罰則を含む)を資料にまとめて提示する
  • 設計変更が発生した場合の工期延長ルールを契約時に取り決めておく
  • 国土交通省の「適正な工期設定等のためのガイドライン」を参考資料として活用する

注意

適正工期の確保は、受注者だけでなく発注者の理解が不可欠です。上限規制の内容を発注者に正しく伝えることで、無理な工期による違法な長時間労働を防ぐことができます。公共工事では適正工期の確保が進んでいますが、民間工事では発注者への丁寧な説明が今後も重要です。

2024年問題と関連法令の全体像

2024年問題は単独の制度変更ではなく、建設業の働き方改革と担い手確保に向けた一連の法改正の流れの中に位置づけられます。

時期法令・制度概要
2018年6月働き方改革関連法時間外労働の罰則付き上限規制を導入
2019年6月改正建設業法・入契法著しく短い工期の禁止、社会保険加入の許可要件化等
2024年4月時間外労働の上限規制適用建設業の猶予期間が終了。本記事で解説の「2024年問題」
2024年6月改正建設業法・入契法・品確法標準労務費の勧告制度、原価割れ禁止の強化等(詳細はこちら
2025年12月改正建設業法の全面施行標準労務費・技術者配置合理化等が施行(実務対応ガイド
2027年(予定)育成就労制度外国人技能実習制度に代わる新制度で建設分野も対象

36協定の具体的な届出方法・様式の選び方・記載例については、「建設業の36協定|届出様式・特別条項・罰則をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

また、下請法・独占禁止法の観点からの適正取引や、法定福利費の適正な見積りも2024年問題と密接に関連するテーマです。一人親方や免税事業者との取引がある場合は、インボイス制度の対応も併せて確認しておきましょう。

まとめ:2024年問題を「働き方変革」のきっかけに

建設業の2024年問題は、時間外労働の上限規制という「制約」ですが、見方を変えれば、長年の慣行を見直し、生産性と働きやすさを両立させるための「きっかけ」でもあります。

本記事の要点を整理します。

  • 2024年4月から建設業にも罰則付きの時間外労働上限規制が全面適用されている
  • 原則は月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間・月100時間未満が上限
  • 違反した場合は刑事罰に加え、企業名公表・指名停止など信用リスクが大きい
  • 適用後2年で監督指導は強化傾向にあり、是正勧告・書類送検の事例も増加
  • 対策の5本柱は工程改善・ICT活用・週休2日・事務BPO・適正工期確保

なかでも、事務作業のBPO活用は、月額5万円程度から始められ、導入のハードルが低く即効性があります。安全書類の作成やグリーンサイトへの入力など、定型的な事務作業を外部に委託することで、技術者が施工管理という本業に集中できる環境を整え、限られた労働時間の中で最大の成果を出すことが可能になります。

2024年問題への対応でお困りの方は、まずは事務作業の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。当社の建設業向けBPOサービスでは、安全書類作成からグリーンサイト入力まで、現場の事務負担を幅広くサポートしています。

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