安全書類を代行に出すと何時間削減?規模別の工数シミュレーション
安全書類の作成工数を規模別にシミュレーション。BPO導入で月12〜65時間の削減が見込める試算結果と、コスト比較表を公開データに基づき解説します。
この記事のポイント
- 安全書類の作成に現場担当者が月15〜80時間を費やしている実態を工数分解して可視化
- 従業員5人・15人・30人の3パターンで月間・年間の削減時間とコストを試算
- パターンB(15人規模)ではBPO導入で月32時間・年間約108万円の削減が見込める
- シミュレーション結果はあくまで業界平均に基づく試算であり、料金シミュレーターで自社に合った概算を確認可能
安全書類の作成にかかる工数を「見える化」したいと考えたことはないでしょうか。現場担当者が書類業務に費やす時間は、日々の業務に紛れて正確に把握しづらいものです。本記事では、公開データや業界平均に基づき、安全書類作成の工数をBPO(業務代行)で削減した場合の効果を規模別にシミュレーションします。特定の導入事例ではなく、あくまで標準的な試算として参考にしてください。
建設会社の安全書類業務にかかる工数の実態
中小建設会社では、安全書類の作成を現場代理人や工事担当者が兼務しているケースがほとんどです。業界の実態として、現場担当者が安全書類の作成に月15〜40時間程度を費やしているケースが多く見られます。現場数が増えるとこの数値はさらに膨らみます。
主な時間の内訳は以下のとおりです。
- 作業員名簿の作成・更新:新規入場者ごとに作成が必要で、1名あたり30分〜1時間
- 再下請負通知書の作成:下請構造が変わるたびに更新が発生
- グリーンサイトへの入力:紙で作成した書類内容をシステムに再入力する手間
- 差し戻し対応:元請からの指摘に対する修正・再提出
- 資格有効期限管理:作業員の資格証の有効期限確認と更新対応
特に繁忙期(3〜6月、9〜11月)は複数現場の安全書類が同時に発生し、工数が一気に跳ね上がります。時間外労働の上限規制が適用されている現在、書類作成のための残業はコンプライアンス上のリスクにもなります。
規模別シミュレーション(3パターン)
ここからは、従業員規模と現場数に応じた3つのパターンで工数削減効果を試算します。時間単価は「年収 ÷ 年間実労働時間(月160時間 × 12ヶ月 = 1,920時間)」で算出した額面ベースの概算値です。実際には社会保険料の会社負担分(給与の約15〜16%)を加えた実質時間単価のほうが自社コストの実態に近くなりますが、本シミュレーションでは保守的に額面ベースで計算しています。
パターンA:従業員5人・現場2つ
小規模な専門工事業者を想定したケースです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 月間書類作成工数 | 約15時間 |
| 担当者の時間単価(年収400万円想定) | 約2,500円/h |
| BPO導入後の自社工数(確認・承認のみ) | 約3時間 |
| 月間削減時間 | 12時間 |
| 月間削減コスト | 約3万円 |
| 年間削減時間 | 144時間 |
| 年間削減コスト | 約36万円 |
| BPO費用目安 | 月額3万〜5万円 |
小規模でも月12時間の削減は、現場業務に充てられる時間として大きな意味があります。
パターンB:従業員15人・現場5つ
中小建設会社で多い規模感です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 月間書類作成工数 | 約40時間 |
| 担当者の時間単価(年収450万円想定) | 約2,800円/h |
| BPO導入後の自社工数 | 約8時間 |
| 月間削減時間 | 32時間 |
| 月間削減コスト | 約9万円 |
| 年間削減時間 | 384時間 |
| 年間削減コスト | 約108万円 |
| BPO費用目安 | 月額5万〜8万円 |
月40時間は、週あたり約10時間を書類作成に費やしている計算です。BPO導入により月32時間を現場管理や安全教育に振り向けることができます。
パターンC:従業員30人・現場10
複数現場を同時に管理する中堅規模の建設会社です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 月間書類作成工数 | 約80時間 |
| 担当者の時間単価(年収500万円想定) | 約3,000円/h |
| BPO導入後の自社工数 | 約15時間 |
| 月間削減時間 | 65時間 |
| 月間削減コスト | 約19.5万円 |
| 年間削減時間 | 780時間 |
| 年間削減コスト | 約234万円 |
| BPO費用目安 | 月額8万〜15万円 |
月80時間はフルタイム1名の約半分に相当します。この規模になると、事務員の採用とBPOの比較も検討に値しますが、採用コストや教育期間を考慮するとBPOの方が立ち上がりが早い傾向にあります。
削減効果の内訳
BPOによる工数削減は、主に以下の4つの業務領域に分解できます。
1. 書類作成時間(全体の約60%)
作業員名簿・再下請負通知書・施工体制台帳の作成が工数の大部分を占めます。定型業務のためBPOとの相性が良く、最も大きな削減効果が得られる領域です。
2. グリーンサイト入力時間(全体の約20%)
グリーンサイトへのデータ入力・アップロード・入力内容の確認にかかる時間です。操作に慣れた専門スタッフが対応することで効率が上がります。
3. 差し戻し対応(全体の約10%)
元請からの差し戻し修正にかかる時間です。BPOを利用すると、専門知識に基づいた正確な書類が作成されるため、差し戻し率自体が低下する傾向があります。
4. 管理コスト(全体の約10%)
資格有効期限の管理や作業員情報の更新にかかる時間です。BPO事業者がマスタデータを管理することで、自社の管理負担が軽減されます。
BPO導入前後のコスト比較
パターンB(従業員15人・現場5つ)を例に、BPO導入前後のコストを比較します。
| 項目 | BPO導入前 | BPO導入後 |
|---|---|---|
| 自社作成工数 | 40時間/月 | 8時間/月 |
| 自社コスト(時間単価 × 工数) | 約11.2万円/月 | 約2.2万円/月 |
| BPO費用 | 0円 | 5万〜8万円/月 |
| 差し戻し対応工数 | 4時間/月 | 0.5時間/月 |
| 合計実質負担 | 約11.2万円/月 | 約7.2〜10.2万円/月 |
合計実質負担は主な書類作成工数とBPO費用をもとに算出しており、差し戻し対応工数のコスト(導入前:約1.1万円/月、導入後:約0.1万円/月)は含んでいません。これを加味すると、BPO導入前の実質負担は約12.3万円/月となり、コスト削減効果はさらに大きくなります。加えて、現場担当者が本来の施工管理・安全管理に集中できるようになる機会費用の効果も見逃せません。
ポイント
このシミュレーションはあくまで試算です
注意
自社の場合の工数削減効果を確認する
本記事のシミュレーションで「自社にも当てはまりそうだ」と感じた方は、次のステップで具体的な数値を確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
シミュレーションの数値はどこから算出していますか?
業界団体の調査レポートや中小建設会社への一般的なヒアリング結果をもとに、安全書類1現場あたりの標準的な作成工数を算出しています。時間単価は年収 ÷ 年間実労働時間(1,920時間)で計算した概算値です。実際の工数は現場の規模や元請の要求事項によって変動するため、目安としてご活用ください。
BPOに出すと書類の品質は下がりませんか?
建設業に特化したBPO事業者であれば、全建統一様式やグリーンサイトに精通した専門スタッフがダブルチェック体制で対応します。自社で兼務作成する場合よりも差し戻し率が下がるケースが一般的です。安全書類の代行サービスを選ぶ際は、建設業の実績と品質保証体制を確認しましょう。
繁忙期だけスポットで依頼できますか?
多くのBPO事業者では月単位や現場単位でのスポット契約に対応しています。3〜6月や9〜11月の繁忙期だけ利用し、閑散期は自社対応に戻す運用も可能です。通年契約に比べて単価がやや高くなる場合があるため、年間の業務量を見積もったうえで契約形態を検討してください。
まとめ
安全書類のBPO導入による工数削減効果を規模別にシミュレーションした結果、従業員5人規模で月12時間(年間144時間)、15人規模で月32時間(年間384時間)、30人規模で月65時間(年間780時間)の削減が見込めることがわかりました。BPO費用を差し引いても、15人規模以上ではコスト面でも十分なメリットが期待できます。
まずは自社の安全書類作成にかかっている時間を把握し、本記事の試算と比較してみてください。コスト構造をさらに詳しく知りたい方は、安全書類の外注コスト vs 自社作成コストや事務員の採用 vs BPO外注の比較記事もあわせてご覧ください。